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​音楽ノート

​バッハ:無伴奏ソナタ3番 ラルゴ​

バッハ 無伴奏ソナタ3番 ラルゴ2000年9月29日 shiomiyuko
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​J.S.バッハの6曲の無伴奏ソナタとパルティータは、ヴァイオリニストにとっての聖書と呼ばれています。

人生の悲哀や孤独、そして天界の慈愛まで壮大な精神世界を表現するこの6曲は、いつ弾いても新たな発見があります。

 

バッハの曲の多くはジャズにもアレンジされているように、地域や時代を超えて愛される生命力が宿っているのを感じます。

​​

​歌うということ​​

 

ヴァイオリンで「歌う」とは、文字通り、歌うように楽器で表現することです。

 

人の心に届くように歌うには、深い呼吸が必要ですが、ヴァイオリン演奏も同じです。

呼吸が止まっていると、正確に弾けていても、AⅠが朗読しているような、一味足りないものになってしまいます。

 

歌うように弾くコツを、ご紹介します。

おなじみのメロディ・・例えば、バッハのメヌエットのような曲を、ラーララ・・と声に出して歌ってみてください。

歌う前に、深呼吸・・しっかり吐いてから吸いこむのを、忘れないでくださいね。

 

次に、エアヴァイオリン(楽器は持たない弾き真似)で、同じ曲の指遣いやボーイングを、曲の通りに再現しつつ、同時に声を出して歌います。

もし、難しいと感じられたら、片手ずつ練習してくださいね。

左指は言葉を発音する口のように、ビブラートの振動は心臓の鼓動を伝えているかのようです。

右腕は弓に息遣いを伝え、弦を振動させます。

 

片手ずつ、歌いながら動かせるようになったら、次は左右の連携を意識しつつ、両手を同時に行ってください。

新しい曲の譜読みにも効果的な方法です。

 

手首などの関節が硬いと、左右の繋がりが感じにくくなります。

練習の前に、準備体操で血流を良くしてから、始めてみてくださいね。

​アンサンブルの楽しみ​

二人以上の奏者が自発性を持ち、調和しつつも即興的な音楽的やり取りが行われることを「アンサンブル」といいます。

ヴァイオリン曲では、ヴァイオリンはメロディを奏で、ピアノが伴奏する、というイメージをお持ちではないでしょうか。

しかし、モーツァルトやベートーヴェンなどのソナタには、ヴァイオリンパートに、弾きにくい伴奏形が出てくることがあります。

実は、メロディが素敵に聞こえるのは、この伴奏形の匙加減によるところが大きいのです。

 

メロディが美しく聞こえるためには、支える伴奏形の力量にかかっているといっても過言ではありません。

 

軽やかさ、深さなどテンポの緩急、ドラマティックな和音進行・・

伴奏形は、メロディが最も美しく魅力的に聞こえる最適なバランスで和声の色彩を添え、メロディがお休みの時は、さりげなく印象深い余韻を残します。

 

 

演奏の良しあしは、スタートのテンポが握っています。

アンサンブルの練習では、まず最初に、後から入る楽器にとっても心地よいテンポを決める必要があります。

もし、ピアノの前奏が弾きたいテンポでなかった場合は、遠慮なく止めて、理想のテンポを伝えましょう。

テンポの変化する場所では、その度合いをメトロノームで確認します。

 

主旋律はどこにあるか、楽器同士の関係は、対話しているか、追いかけっこしているか、音の重なり方・・などを分析し、出すところ、引くところなどの音量バランスを確認します。

 

曲によっては丁々発止、競い合う場面もあるかもしれません。

 

1stと2ndでメロディが交互に入れ替わる(ピアノ無しの)ヴァイオリン二重奏は、アンサンブルの勉強に最適です。

同じ楽器ならではの共鳴と相乗効果で、アンサンブルの醍醐味を味わうことができます。

 

モーツァルト、ルクレール、グリエール、バルトーク・・等、素敵な二重奏曲があります。

​楽譜を読む​上で

​楽譜には、様々な情報が詰まっています。

その曲のイメージ、作曲者の思いは、音符、速度や様々な演奏記号の中に込められています。

演奏は、作曲家のメッセージを読み解き、組み立てて伝える作業と言えるでしょう。

楽器を持たずに、目で楽譜を読む習慣をつけると、曲を早く理解でき、練習時間の短縮にもなります。

まず、鍵盤で音を出してみてもよいでしょう。

最初は、楽器を持たないと練習した気がしないかもしれませんが、回を重ねるうちに、見るだけで音が想像できるようになります。

ヴァイオリンパートの譜読みができたら、ピアノ譜で全体をイメージしてみましょう。

 

本の読み聞かせをしたことのある方は、まずお話のテーマをとらえ、メッセージにふさわしい語り口を選び、印象深く盛り上げる工夫をされたのではないでしょうか。

 

演奏も同じです。楽譜を読み、声に出して歌うことは、とても効果的な練習法です。

メロディにふさわしい息遣い、表現を探してみてください。

 

ヴァイオリンの楽譜には、所々に指番号(指遣い)が書かれていますが、これは、ここでポジションが変わります。というサインです。

同一ポジション内では、弦が変わっても、指遣いの記載はありません。

自筆の指番号に頼り過ぎると、ポジション移動の複雑な曲になった時、一気にハードルが高く感じられますので、自力で読む習慣をつけてくださいね。

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